ホルモン療法とは、日本のガイドラインによると1段階目の精神療法を受けた結果、2段階目の身体的治療に移行するのが望ましいと判断された人に行う、全身に変化が起きることを期待する身体的治療法のことです。
ホルモン療法の目的について
MTFの人が身体的な女性化を望む場合は女性ホルモンの投与を行います。治療により以下の作用が発現します。作用の発現は投与された人により発現時間も異なり、効果も均等に現れるものではなく、かつもとに戻らない場合があります。
- 女性型体型
- 乳房緊満感
- 乳輪の色素沈着
- 生殖機能の低下もしくいは喪失
また、以下はMTFの場合、期待できない効果の一覧です。
- 一度声変わりした声がもとに戻る
- 生殖器が女性器に変わる
一度二次性徴により声変わりした声はホルモン治療では元に戻りません。これは、ボイストレーニングを行うことにより改善していく場合があります。
後者の生殖器の形、は1年以上ホルモン治療を継続したにもかかわらず性違和が和らがない人向けに、性別適合手術(SRS。いわゆる性転換手術)を実施することによって女性器を造ります。
投与方法について
女性ホルモンの投与方法は以下のとおりです。
- 筋肉注射
- 錠剤
- 塗り薬
- 湿布
投与方法は様々ありますが、原則として1の筋肉注射を行います。2週間に1度ホルモン療法ののため病院に通院する必要があるものの、毎日服薬する必要性ものなく、普段は意識せずにいられるのが一番楽です。
筋肉注射の内容ですが、通常卵胞ホルモンを投与します。ただし卵胞ホルモンだけではなく、黄体ホルモンも注射する場合もあります。赤林檎の体感としては黄体ホルモンも同時に注射したほうが乳房の成長は早くなりました(※個人の感想です)。
ホルモン療法に関する注意事項について
下記の項目に該当する場合は、ホルモン療法が施行できないか、あるいは施行時に注意しなければならないことがあります。
- 血栓性静脈炎や、肺塞栓症なとの血栓症が現在ある。または過去になったことがある
- 心臓疾患や、腎臓疾患が現在ある。または過去になったことがある
- 肝機能障害が現在ある。または過去になったことがある
- てんかんが現在ある。または過去になったことがある
- 糖尿病が現在ある。または過去になったことがある
- 血糖降下剤を服用中である
- イプリフラホン(骨しよう症の薬)を服用中である
ホルモン療法の副作用について
女性ホルモンの投与に伴い望ましくない副作用(下記)が現れることがあります。そのため、定期的な血液検査が必要であり、副作用が重篤な場合、あるいは医師が必要と判断した場合は、治療を中止することがあります。
- 血栓症
- 肝機能障害
- 脱毛
- 頭痛・めまい
- その他の副作用と考えられる所見、症状、検査データ
ホルモン治療について
性同一性障害に対するホルモン治療は現在保険診療の適応がないことから、その費用は全額自己負担になります。費用は実施する病院によりピンきりです。うまく安いところを探しましょう。
ホルモン治療が保険診療の適応がないことについては詳しくはこちらの記事を読んでください。