こんにちは、伊豆産蜜柑です。
2019年5月10日に、タイ・バンコクのガモンホスピタルにて性転換手術(SRS・性別適合手術)を受けてきました。
今回は、SRSにかかった費用や、SRSを受けるために必要な診察・書類取得、タイへの渡航費用について、実際に私が行った手順に基づいて書いていきたいと思います。
SRSを受けるまでにかかった費用
「よし、SRSを受けに行こう!」
そう心に決めたら、まずはかかりつけの心療内科・クリニックにSRSを受けに行きたい旨を相談してみましょう。
どの病院でSRSを受けるかによっても必要なものは変わってくると思いますが、私の場合はガモンホスピタルを選択し、以下の通りでした。
- (英文診断書を取得するための)紹介状
- 身上書(いわゆる自分史)
- パスポート
- GIDの英文診断書
- 問診表
- 航空券
この中であらかじめ作成・取得しておけるものは身上書とパスポートでしょう。以下、各書類について解説します。
紹介状
紹介状はかかりつけの病院で発行してもらうものです。GIDの英文診断書を書いてもらう病院に行きます。金額についてはこの時の領収書が残っていないのでうろ覚えになりますが、2,000円ほどだったと思います。
身上書
身上書は英文診断書を取得しに早稲田通り心のクリニックに赴いたときに必要でした。自分史は10000文字が目安とよく言われていますが、この時の自分史はそこまで詳細に書く必要はありません。A4用紙3枚分ほどでOKでした。
パスポート
パスポートは住民登録をしている都道府県のパスポート申請窓口で申請をします。有効期限10年のものが16,000円、5年のものが11,000円かかります。SRSを受けに行くだけであれば5年のもので充分でしょう。私は5年のものを取得しましたので11,000円でした。国内で受けられる方はもちろんパスポートは不要です。
GIDの英文診断書
GIDの英文診断書については、早稲田通り心のクリニックで5,400円で発行してもらえました。かかりつけの病院で書いてもらった紹介状と身上書を忘れないように持っていきましょう。ちなみに私は京都府在住であり、来院のため別途かなりの交通費がかかりました。京都~品川間の新幹線普通車指定席の運賃13,910円×2=27,820円です。その他在来線の運賃も込みで30,000円弱ほどかかっていました。
問診表
問診表については、ガモンホスピタルの場合、SRS予約確定後に病院からメールで送られてきます。余裕をもって記入し返信しておきましょう。
航空券
SRSの日付が決まれば、渡航に必要な航空券も早めに購入しておくと安心です。渡航費を抑えたいなら、LCC(格安航空)を利用するとかなり安くすることが出来ます。飛行機の運賃は時期によって変動し、安い時期と高い時期でじつに3~4倍もの差が出ます。5月の大型連休明け直後~6月末くらいに一気に安くなるため、この時期が狙い目でしょう。この時期にSRSを受けておけば、帰国後の必要ダイレーション回数の多い時期がちょうど夏の時期と重なりますのでダイレ中全裸族が捗る…ではなく寒い思いをしながらダイレーションしなくて済むのも個人的にはGOODな点かと思います。私は5月の連休明け直後に12,900円でタイに渡りました。
病院滞在中にかかった費用
上記をすべてクリアすればいよいよ本来の目的、SRSに辿りつきます。ここで支払うものは以下の通り。
- SRS費用
- 退院後の宿泊費用
- ダイレーショングッズ
- 滞在中の雑費
- 帰国時の航空券代金
こちらも順に解説していきます。
SRS費用
メインです。こちらも病院によってまちまちですが、ガモンホスピタルでのMTF-SRS費用は2019年5月現在、以下の通りとなっています。
- ペニス反転法による外性器のみ形成(造膣なし) = 245,000バーツ (約85万円)
- 陰嚢皮膚移植法 (いわゆる反転法) = 286,000バーツ (約100万円)
- S字結腸使用膣形成(開腹法) = 400,000バーツ (約140万円)
- S字結腸使用膣形成(腹腔鏡) = 550,000バーツ (約193万円)
私は2番目の反転法を選択したのでSRS費用は286,000バーツ。
タイ人精神科医による診断書取得という項目があるのですが、これはどうやら私が気づかないうちにいつの間にか行われていたようです。こちら2,000バーツ。
このほかに、SRS前の事前検査費用として3,300バーツ (約12,000円) がかかります。35~39歳の場合4,800バーツ (約17,000円)、40歳以上は5,300バーツ (約19,000円)となり、それぞれ必要な検査項目が増えます。SRS費用に比べると微々たる差ですが、年齢が上がるほど高額になることを覚えておきましょう。
SRS反転法 + 診断書 +事前検査で286,000 + 2,000 + 3,300 = 291,300バーツとなり、これらをまとめてSRSの前日に日本円の現金で支払いました。この日のレートで1,014,000円ほどだったと思います。

なお、ガモンホスピタルでは各種支払いにクレジットカードが使用できます。
Visa・MasterCard・JCBいずれもOKで、カード利用手数料は3%となっていました。高額な支払いとなるため、事前にカードの利用可能枠残額をチェックしておきましょう。
また、国外まで高額の現金を持っていくのは不安だ…という方は、国際送金で支払いを行うこともできます。SRSの日程確定前後に国際送金の案内がされると思いますので、利用したい旨を申し出るとよいでしょう。
退院後の宿泊費用
SRSを受けてから6日後には退院となり、その後およそ2週間をガモンホスピタル上階のアパートメントで過ごしました。このアパートメントの宿泊費用は1泊あたり朝食つきで1,500バーツ (約5,200円) です。
私は退院後13泊の滞在だったため、1,500 × 13 = 19,500バーツを宿泊費用として帰国の前日に支払いました。支払日のレートで68,000円ほどでした。
ダイレーショングッズ
SRSを受けて8日目ごろから、作られた膣を拡張するためのダイレーションが始まりますが、これは帰国後もずっと続けていく必要があります。そのために必要な消耗品や薬はタイで購入すると日本国内の半額ほどの出費で済むため、帰国前にまとめて購入していく方が多いようです。
私はガモンホスピタル提携の薬局でQCゼリー48本と抗生軟膏を12本、その他ガーゼなどの消耗品を購入し11,000円ほどでした。
滞在中の雑費
退院してアパートメントでの生活が始まると病院の外に出られるようになり、買い物や食事などが自分の意志で行えるようになります。体調がよければ軽く観光する方もいるようです。人によってかなり額に差が出る部分だと思います。私は全部で30,000円ぶんほどタイバーツに両替し、帰国時の空港で日本円7,000円に替えましたので23,000円ほど使っていたようです。
帰国時の航空券
アパートメントでの滞在期間を無事過ごせば晴れて帰国となります。長期にわたり滞在したのでなんだか名残惜しい気もしますが、いつまでもお世話になっているわけにもいきません。帰国時にはSRSで体も消耗しており、女性器とは名ばかりの患部を庇いながら帰ることになります。また荷物もダイレーショングッズなどで来たときよりも増えますので、ほぼ確実に預け入れることになるでしょう。
この時の費用は航空券+荷物預け入れ手数料+帰国後ホテル代金で23,600円でした。ホテル代に関しては、帰国の翌日に早稲田通り心のクリニックに性別変更のための診断書を受け取りに行く予定を立てていたのでそのためです。
帰国~帰宅までにかかった費用
SRSも無事終わり、帰国したらようやくおしまい…とはならず、戸籍上の性別変更までたどり着くにはまだやらなければならないことがいくつもあります。記事執筆時点でまだ取得していない必要書類もありますので、ここでは現時点で解説可能なもののみ解説します。
- 戸籍上の性別変更用の診断書
- (自宅までの交通費)
戸籍上の性別変更用の診断書
"二名以上の精神科医によって性同一性障害と診断されている"ことを証明するために必要な書類です。帰国の翌日に早稲田通り心のクリニックで発行してもらい22,820円でした。
(自宅までの交通費)
この項目はあくまで参考です。私は京都府に住んでいるので、診断書を取得後に東京→京都まで帰らなければなりません。東京で友人と遊んだ後、品川駅から新幹線に乗ります。13,910円です。この後思いもよらぬハプニングに巻き込まれるのですが、本記事では割愛させていただきます。
私が現時点で行った性別変更の手順はここまでとなります。ここから先は、もう一人の精神科医の診断を受けたり、戸籍謄本(全部事項証明書)を取得しに行ったり、まだまだやるべきことは山積している状態です。
総額
SRSを受けに行こうと心に決めてから現在まで、結局いくらほどかかっていたのかというと…
- SRSを受けるまでにかかった費用 = 61,300円
- 病院滞在中にかかった費用 = 1,139,600円
- 帰国~帰宅までにかかった費用 = 36,730円
上記あわせて1,237,630円となりました。
一般的な会社員の場合、SRSを受けるために休職または退職してからとなるため、その間の収入が途絶えてしまいます。念のため200万円程度の貯蓄を作ってから臨むとよいでしょう。私はおよそ3年をかけて180万円を貯めてから1ヶ月休職しSRSに臨みました。
在職しながらのSRSの場合、勤めている会社で社会保険に加入していれば、国外の手術であっても復職後に傷病手当金の制度を利用できる場合があります(ガモンでのSRSで実例があるようです)。
一般的な金銭感覚で言えばかなり大きな出費となりますので、使える制度は積極的に利用させてもらうのがよいでしょう。
国内でのSRSは2018年4月より公的医療保険が適用されていますが、MTFの方にとってはほぼ名ばかりの制度であり実質的に機能していないのが現状ですので、どうしても100万円以上の大出費は避けられません。当記事が少しでも皆様のSRS費用積み立ての参考になれれば幸いです。